お知らせ 健康コラム
腸内フローラを整えストレスから心身を守る


私たちは職場や家族、病気、将来への不安など多くのことからストレスを受けて生きています。しかしストレスをそのまま放っておくと自律神経や免疫のバランスが崩れ、心身の健康に大きな影響を及ぼすことになります。ストレスを受けるとお腹が痛くなって、腸内環境の悪化を招くこともあります。自律神経は腸によってコントロールされており、うつ病の発症にもかかわっていることがわかっています。今回は、腸内環境とストレスの関係についてご紹介していきます。

国民の半数が日常生活での悩みやストレスを抱えている
 厚生労働省が公表した『2019年国民生活基礎調査』によると、12歳以上の国民の2人に1人が日常生活での悩みやストレスを抱えていることが明らかとなっています。悩みやストレスがある人の割合を性別で見ると、男性43.0%、女性52.4%で女性が高くなっています。年齢別では、男女ともに30代から50代が高く、男性では約5割、女性では約6割に上ります。  
 また独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した『第3回日本人の就業実態に関する総合調査(2018年調査)』では、過去3年間で落ち込んだり、やる気が起きないなど精神的な不調を感じたことがあると回答した人は3割を超えています。

腸は「第2の脳」、腸内細菌のバランスが重要
 私たちの日常生活には、病気、睡眠不足、将来への不安、人間関係の悩み、長時間労働による過労、転勤・転校、転居などストレスとなる要因がたくさんあります。
 ストレスを長く受け続けていると、やる気の低下、イライラ、不安、うつなどの心理面での不調や、便秘、頭痛・肩こり、疲労感、息切れ、不眠、怒りっぽくなるなど身体面での不調が生じてきます。
 うつ病は心理的なストレスや身体的なストレスなどが強く関与し、脳がうまく働かなくなってしまう心身の症状を伴う病気です。
 国内のうつ病患者数は127万人と急増しており、近年、大人だけではなく子供のうつ病も増えています。
 ストレスを受けると、腸内環境が悪化することがわかっています。腸は「第2の脳」と呼ばれるくらい、神経伝達物質やホルモンなどによって、複雑な「脳腸相関」といわれる構造を作っています。私たちの体の器官のほとんどは脳の指令で動いていますが、腸は脳の指令を受けず、独自に活動しています。
 腸内にすんでいる細菌は、菌の種類ごとに集まって腸の壁に隙間なくびっしりと張り付いています。顕微鏡で見ると、お花畑のような光景であることから「腸内フローラ」と呼ばれています。うつ病患者の腸内フローラにはビフィズス菌や乳酸菌、そのほか特定の細菌が少ないといった報告があります。
 腸内フローラのバランスが乱れるとストレスを抱えやすくなったり、ストレスによって、腸内フローラのバランスが変化することは以前から指摘されていましたが、近年、脳の機能に腸内フローラが関与していることがわかってきました。
 北海道大学の中村公則准教授らの研究グループは、心理的なストレスが腸内フローラの異常に関与するメカニズムを初めて解明しました。これまで心理的なストレスによって、なぜ腸内フローラに異常をきたすのかは不明でした。  
 この研究では、うつ状態を起こすような心理的なストレスを受けると、小腸に存在する免疫物質の一種であるαディフェンシンの分泌量が少なくなり、腸内フローラと腸内代謝物の異常を引き起こすことを明らかにしました。αディフェンシンは、小腸に入ってきた病原菌の殺し屋として働く役目を担っています。
 腸内フローラを改善すると、脳の海馬の神経栄養因子の発現を高めることも報告されています。
 九州大学の須藤信行教授らの研究グループがマウスにストレスを与えた試験で、腸内細菌がストレス反応を抑えることや、腸内細菌が脳内の神経伝達物質や神経成長因子に影響を与えることが示されました。

体にはストレスを防御するシステムが存在している
 先ほど、心理的なストレスでうつ病を発症するメカニズムとして腸内フローラが関与していたとする研究成果をご紹介しましたが、心身のストレスを防ぐ体のしくみとして、「視床下部-下垂体-副腎皮質(HPA axis)系」が知られています。この防御システムは、副腎皮質から分泌されるホルモンの一種「コルチゾル」の濃度を測ることで活動状況を調べることができます。
 コルチゾルはストレスを受けたときに、脳からの刺激を受けて分泌量が増えることから「ストレスホルモン」とも呼ばれています。近年の研究で、乳酸菌やオリゴ糖の摂取によってストレスに伴うコルチゾルの過剰な上昇が抑えられ、ストレス耐性が高まる可能性が示唆されています。
 このような研究成果などから、最近の予防医学では、脳が腸に影響を与えているというよりも、腸が脳に影響を与えているという考え方が主流になりつつあります。
 

精神面の健康を助ける幸せホルモン「セロトニン」
 腸から脳への情報伝達に欠かせない神経伝達物質がセロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンです。
 うつ病の発症は、脳内でセロトニンが欠乏することが原因の1つとされています。またセロトニンは感情をコントロールし、気持ちを安定させ、おだやかな気分にする神経伝達物質としても知られています。またドーパミンは脳にやる気や興奮のメッセージを与える作用を持っています。ノルアドレナリンは神経を興奮させる神経伝達物質で、「やる気」や「意欲」を高める反面、「恐怖」「不安」「驚き」といった不快な感情とも深い関係があります。 
 セロトニンは食べ物からトリプトファンというアミノ酸を摂取しないと、体内で合成できません。トリプトファンを多く含む食材は豆腐、納豆、味噌、しょうゆなどの大豆製品や、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品、米などの穀類です。そのほか、ゴマ、ピーナッツ、卵、バナナなどにも含まれています。
 トリプトファンを体内にとり込むと、トリプトファンは腸内でビタミンの作用によってセロトニンとなりますが、そのセロトニンをもとにしてメラトニンという物質が生成されます。私たちが眠くなるのは、脳の中心にある松果体から分泌されるメラトニンの作用によるものです。そのためメラトニンは睡眠ホルモンとも呼ばれています。
 セロトニンが不足せずに、メラトニンを効率よくたくさん生成させるためには、腸内フローラのバランスを良好に保つことが重要になります。
 また最近の研究で、亜鉛やマグネシウム、鉄分などのミネラルが不足すると、睡眠障害を引き起こすこともわかっています。
 ドーパミンはフェニルアラニンというアミノ酸を食べ物から摂取しないと体内で合成できません。フェニルアラニンを多く含む食材は大豆製品、肉、魚、乳製品、ナッツ類です。しかし腸内フローラのバランスが良くないと、これらのアミノ酸を多量に摂取しても、セロトニンやドーパミンは脳内で増えてきません。それは腸内細菌がセロトニンやドーパミンの前駆体を作り出しているからです。また腸内細菌はセロトニンの合成にかかわっているビタミンB6、ナイアシン、葉酸などのビタミンも作り出しています。
 腸内細菌の中には、脳内で抑制系の神経伝達物資であるγ‐アミノ酪酸(ギャバ)を作り出す菌があることも確認されています。γ‐アミノ酪酸はドーパミンなど興奮系の神経伝達物質の過剰な分泌を抑えて、リラックス状態をもたらす作用が示されています。γ‐アミノ酪酸は血圧を下げる作用もあり、特定保健用食品の関与成分としても利用されています。また機能性表示食品では、「ストレス」「睡眠の質」「疲労感の軽減」「肌のうるおい」などの食品が届出されており、数多くの臨床データが報告されています。
 日頃から腸内フローラを良好に保ち、ストレスに負けない心身を作るためには、腸内細菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を含む野菜・海藻や発酵食品を日常の食生活に積極的に取り入れていただくことが有効であると考えられます。腸内で作られる短鎖脂肪酸には抗うつ作用があることが報告されており、今後のさらなる研究の進展が期待されています。
「健康の輪」No.43より抜粋・一部修正

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