- お知らせ 健康コラム
- Vol.30 質のよい睡眠は腸内細菌によって培われる
厚生労働省の調査によると、日本人の5人に1人が慢性的な不眠に悩まされており、2010年から増加傾向にあることが明らかとなりました。睡眠は細胞の再生と修復、疲労回復、免疫機能の維持など心身のメンテナンスを行ううえで重要な役割を担っています。質のよい睡眠は規則正しい生活リズムからつくられます。それを陰から支えているのが腸内細菌です。
■腸は「第2の脳」 腸内環境の乱れは不眠の原因に
50年前に比べて約1時間短縮しており、パソコン、スマホ、ゲームなどの長時間使用による生活リズムの乱れ、人間関係や将来への不安などによる過度なストレス、ホルモンバランスの乱れなどが不眠につながる大きな要因とされています。慢性的な睡眠不足は心身にさまざまな影響を及ぼし、肥満、便秘、生活習慣病、集中力低下、抑うつ、肌トラブル、免疫力低下などを引き起こす要因の1つとされています。
ストレスは腸内環境の乱れと関連性があることがわかっています。腸は「第2の脳」と呼ばれ、神経伝達物質やホルモンなどを介して、脳と密接に影響を及ぼし合っています。これを「脳腸相関」と呼んでいます。
■規則正しい生活リズムと腸活で良質な睡眠を
近年、腸内細菌に対する体内時計(概日リズム)と睡眠の影響や、腸内環境と睡眠の質向上に関する研究成果が数多く報告されています。
睡眠に欠かせないのがメラトニンというホルモンで、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。
一方、目覚めのホルモンも存在します。「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンです。セロトニンは心のバランスを整えてくれる働きのほかに、目を覚ます役割も担っています。太陽を浴びたり、適度な運動をすることによってセロトニンの生成を活性化することができます。セロトニンは光を浴びてから14~16時間後にメラトニンがつくり出される原料となります。私たちの体はセロトニンとメラトニンの分泌サイクルによって1日のリズムが形づくられています。
食事からはトリプトファン→セロトニン→メラトニンという形でつくり出されます。トリプトファンは体内では合成できません。「眠りやすい体」をつくり出すためには、トリプトファンを含む食品を朝と昼の食事で意識してとることが不可欠です。
トリプトファンは腸内細菌によってセロトニンの前駆体に変換され、脳内におけるセロトニン合成を促進することが知られています。食事からとったトリプトファンをしっかり働かせるには腸内細菌を増やし、菌叢の底上げを図ることが重要です。
メラトニンの分泌量は年齢を重ねるとともに減少します。これは加齢とともに脳の松果体の機能が低下し、腸内細菌の多様性も失われることが大きな要因とされています。腸内環境を整えることは加齢とともに衰える「眠る力」を支える〝第二の快眠習慣〟ともいえるのです。
腸内ケアの方法としてよく知られているのが、食物繊維やオリゴ糖を含む野菜・海藻や発酵食品を積極的にとることです。
大高酵素飲料には発酵・熟成の過程で生成された27種類のオリゴ糖やβ‐グルカンなど発酵由来の代謝産物が含まれています。
体内時計のベースは朝の起床です。体内時計は朝日を浴びたり、起床後1時間以内に朝食をとるとリセットされます。規則正しい生活リズムを維持し、腸活を意識した食生活をおくることが、体内時計を正常に保つカギとなります。
「健康の輪」No.57より引用