お知らせ 健康コラム
Vol.29 腸は免疫の司令塔、発酵食品の力に注目

新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて報告されたのが2020年1月16日。それ以降、マスクや殺菌消毒用の商品が品薄となる一方で、免疫力を高める効果が注目され、納豆やヨーグルトが飛ぶように売れたのは記憶に新しい出来事として、私たちの脳裏に今も深く刻まれています。私たちはウイルスや細菌などの外敵から体を守ったり、病気を治すために「免疫力」という機能を備えています。ウイルスや細菌をやっつけてくれる免疫細胞の7割は腸内に存在していることから、免疫力を保ち、新型コロナウイルスの感染から身を守るための方法の1つとして、“腸活”の重要性が注目されています。

■感染症対策として免疫力を高めることが重要
 「免疫力を上げよう」とか「免疫力を高めるには発酵食品が良い」などという言葉をよく耳にしますが、免疫力が高いとか低いといったことを科学的に測定できるのでしょうか。

 現状では、血液中の白血球の数や、リンパ球の種類、比率、機能などを調べる方法があります。これらの免疫細胞はウイルスや細菌などの病原体と戦ってくれます。また唾液中の分泌型免疫グロブリンといわれるS‐IgAを評価して、アレルギーや睡眠、疲労などの関連を調べる方法もあります。

 体の免疫システムは複数の因子が役割を果たしていることから、評価が難しい研究分野の1つとされています。

■何種類もの細胞たちが外敵の侵入から守ってくれる
 免疫細胞はたくさんの種類がありますが、そのなかで免疫力をつかさどっている主体は白血球です。白血球には単球、リンパ球、顆粒球の3種類の成分があります。なかでもリンパ球は、免疫機能の中心的役割を担っています。

 リンパ球にはT細胞、B細胞のほか、よく知られている種類としてナチュラルキラー(NK)細胞があります。リンパ球の70~80%がT細胞、5~10%がB細胞、15~20%がNK細胞です。

 NK細胞は文字通りの“殺し屋”で、がん細胞やウイルス感染細胞などを見つけて攻撃する細胞として知られています。このNK細胞の数や活性は加齢とともに低下していきます。

 またストレスや睡眠不足、過労、食生活の乱れなどでも低下することも分かっています。NK細胞を活性化させる栄養としては、マクロファージなどで作り出される低分子のタンパク質であるサイトカインが有名です。

 一方、お笑い番組を観ていたり、カラオケや森林浴などでリラックスしているときにNK細胞が活性化されることも臨床試験で明らかとなっています。

 マクロファージは病原体などの異物を食べて、処理したり、食べきれない場合、その情報をリンパ球に伝えて助けを求める役割も担っています。このため貪食細胞とか抗原提示細胞とも呼ばれています。さらにマクロファージは血液中に残った余分な栄養成分も処理してくれます。

 このため、栄養過多になり、マクロファージが栄養処理に専念する状態が続くと、ウイルスや細菌などに対する防御機能が低下するので、日頃からバランスのよい食生活や腹七分目を心掛るだけでも、マクロファージの活性を保つことにつながります。

 自然科学研究機構の富永真琴教授らの研究によると、マクロファージの働きは、38.5℃でより増強することが明らかとなりました。インフルエンザなどに感染して熱を出すのは、体の中で免疫細胞が最適条件でウイルスと戦っている結果ということになります。

 顆粒球には好中球、好酸球、好塩基球がありますが、なかでも好中球は異物の代表である細菌を食べてくれる強い貪食能力と殺菌能力を持ち合わせています。このように免疫細胞にはそれぞれ役割分担があり、お互いに連絡を取り合ってチームプレーで戦っています。

 「外敵を発見する者」、「その情報を伝達する者」、「外敵への攻撃命令を出す者」、「外敵を攻撃する者」、「外敵への攻撃の始まりや終わりを告げる者」などといった具合に、鮮やかな連携のもと外敵をやっつけてくれるのです。

 この連携プレーが1つでも乱れてくると、免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどに罹りやすくなったり、過剰に働いて健康な組織を傷つけたりしてしまいます。

■免疫細胞の約7割は腸内細菌が作り出す
 免疫機能には、体内に侵入したウイルスや細菌などを直ちにやっつけてくれる「自然免疫」と、侵入したそれらの情報をリンパ球が認識し、その情報に基づいて特定の異物を排除する「獲得免疫」が存在します。

 自然免疫を担当するのはマクロファージ、NK細胞、好中球、獲得免疫を担当するのはT細胞、B細胞です。獲得免疫の特徴を応用したものにワクチンがあります。ワクチンを打つと、同じウイルスが体内に入ってきた時に、素早く集中攻撃してくれます。これを獲得免疫反応といいます。

 ウイルスや細菌からの感染を予防するには、生体防御の最前線に立って活躍する自然免疫のシステムを維持したり、低下した免疫力を高めることが重要となります。

 免疫細胞の約7割は腸内細菌によって作られており、腸は免疫力を高めるための要となっています。腸は栄養成分の消化吸収を行うだけではなく、細菌やウイルスなどの異物が体内に侵入しないよう防ぐ働きも担っているのです。

 実は食べ物も体にとっては異物です。口にした食べ物には細菌などの有害物質が付着しているかもしれません。そのため、小腸にはリンパ小節が集合する「パイエル板」など独特の免疫組織が発達しています。

■腸活生活で免疫力を維持・強化する
 ここまで免疫の仕組みについて大まかに紹介してきましたが、免疫機能を正常に働かせたり、加齢とともに衰える免疫機能を高めるには、腸内細菌を増やし、菌叢の底上げを図ることが重要となります。腸活の方法としてよく知られているのが、納豆やヨーグルト、キムチ、お酢などの発酵食品を積極的にとることです。

 新型コロナウイルスの影響を分析した市場調査レポートによると、納豆や乳酸菌飲料、ヨーグルトの売り上げが急激に伸びたことが明らかとなっています。これは、免疫力を高める効果が注目されたからだと推測されます。

 発酵食品に含まれる発酵微生物の代謝産物は有効とされ、なかでも酵母などの細胞壁に存在するβ‐グルカンは小腸のリンパ球を刺激して、マクロファージなどの貪食細胞を活性化させてくれることが知られています。

 それ以外にも、小腸で消化されずに大腸に到達した水溶性食物繊維やオリゴ糖は、ビフィズス菌や酪酸菌など腸内細菌のエサとなります。

 また発酵調味料の代表格であるお酢には、発酵過程で微生物により作り出される酢酸と呼ばれる短鎖脂肪酸が多く含まれています。この短鎖脂肪酸は腸内細菌が食物繊維を分解することでも産生されます。

 短鎖脂肪酸の一部はブドウ糖とは別のエネルギー源として体内で利用されたり、腸の細胞のエネルギー源となったりします。さらに腸管の働きを活性化したり、免疫の暴走を抑える制御性T細胞を増やすなどさまざまな機能が明らかとなっています。

 植物エキス発酵飲料である大高酵素飲料にも、酵母の細胞壁成分であるβ‐グルカンや27種類のオリゴ糖、乳酸や酪酸など発酵由来の代謝産物などが含まれています。27種類のオリゴ糖は仕込みの際に添加した合成品ではなく、発酵・熟成の過程で生成されたものです。

 これらの発酵食品を食生活の中に積極的に取り入れ、“腸活”を実践する方々が増えています。

 腸内環境を整えるには、酵素ファスティングもお勧めです。腸内環境を改善するほか、免疫系に悪影響を及ぼす有害物質も体から出すことが期待できます。

 東京大学医学部の水島昇教授らの研究によると、マウスを24時間ほど断食させると、オートファジーが活性化することが明らかとなりました。

 オートファジーとは不要なタンパク質を自分自身で食べて分解し、さらに新たに必要なものに作り替えるシステムのことです。東京工業大学の大隅良典栄誉教授がその仕組みを解明し、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞したことでも一躍脚光を浴びるようになりました。

 オートファジーの役割としては、免疫などにおいて重要な生理機能を持つことが解明されています。このオートファジーを活性化させるための方法として、水断食よりも、腸への負担が少ない酵素ファスティングをお勧めします。

 これまで、免疫の仕組みや発酵食品の重要性について駆け足で紹介してきましたが、免疫力の維持・強化には、適度な運動や良質で十分な睡眠、温浴、森林浴、さらにはよく笑うといったことも効果があることが報告されていますので、併せてご参考にしてください。

「健康の輪」No.35より一部抜粋・修正・加筆

PURCHASE

ご購入はこちらから

一部の植物エキス発酵飲料、酵素コスメはオンラインからでもご購入いただけます。
その他の商品ご購入に関しては、お近くの支店及び、販売会社にご連絡いただけますと、正規取扱店をご紹介させていただきます。
以下のボタンをクリックして、「正規取扱店のご案内」ページへ移動し、ご希望の地域を選択してください。

正規取扱店
オンラインショップ
TOP