～酪農学園大学との共同研究で「Journal of Applied Glycoscience」に論文掲載～

大高酵素株式会社（本社：北海道小樽市、代表：今井　政一）は、酪農学園大学との共同研究で、当社にて開発した植物エキス発酵飲料「スーパーオータカ」由来多糖類の、ヒアルロン酸分解酵素阻害効果について研究を行いました。

●研究の背景
我々は植物エキス発酵飲料「スーパーオータカ」に含まれる多糖や、その機能性について調査を行っており、β-1,3グルカンの存在を確認し報告しています[1]。さらに限外濾過や各種クロマトグラフィーにより、β-1,3グルカンとは異なる多糖を４種類分離し、この多糖を添加した培地でマクロファージ様細胞を培養し、培地中のサイトカインを測定したところ、分離した多糖のいくつかはサイトカインの産生を誘導することを既に報告しています[2]。これらの多糖類による刺激により、マクロファージからIL-12 p40などのサイトカインが生成されており、このことからナチュラルキラー（NK）細胞とT細胞が活性化され、抗がん効果に寄与する可能性が示唆されました。
一方、ヒアルロン酸の加水分解に関与する酵素であるヒアルロニダーゼは、肥満細胞から遊離したヒスタミンによって引き起こされる炎症にも関与します。そのため、ヒアルロニダーゼ阻害剤はアレルギーや炎症を抑制する効果があると考えられており、ペクチンやフコイダンなどの多糖にヒアルロニダーゼの阻害活性があることが報告されています。そこで我々は、植物エキス発酵飲料から分離した多糖のヒアルロニダーゼ阻害活性の有無を調査しました。また、植物から抽出した多糖の中には抗酸化活性を有するという報告もあることから、DPPHラジカルを用いて抗酸化活性も調査しました。

●研究の成果
昨年報告した[2]植物エキス発酵飲料「スーパーオータカ」から分離した多糖を、試験の材料として用いました。この多糖のうちの一つが、下の図に示したように濃度依存的にヒアルロニダーゼを阻害する活性を示しました。またこの多糖は弱いながらも抗酸化性を示しました。よって、我々が分離した多糖はマクロファージを刺激するだけでなく、ヒアルロニダーゼ阻害活性や抗酸化活性も有することが示唆されました。
本研究成果は、応用糖質科学ジャーナル「Journal of Applied Glycoscience」の2025年第72巻第2号に全文掲載されました。 (DOI https://doi.org/10.5458/jag.7202202)
「Hyaluronidase inhibitory activity of polysaccharides separated from a fermented beverage of plant extracts」（日本語：植物エキス発酵飲料から分離された多糖類のヒアルロニダーゼ阻害活性）

●今後の課題と展望
植物エキス発酵飲料「スーパーオータカ」から単離された多糖類に関する弊社の in vitro 研究は、2024年報告のマクロファージを刺激し、免疫系を活性化した試験と同様にin vivoでの試験はまだ行われていないので、将来的にヒトを対象とした試験を実施できればと考えています。
また、分離された多糖は植物原料由来か発酵微生物由来かわかっておらず、構造も未解明のままです。今後の研究の発展のため多量に多糖を合成する方法を模索しています。大量に合成が可能となれば研究が進み、機能性の素材として活用も期待できると思われます。

[1] A. Yamamori, N. Kawazoe, H. Okada, A. Arai, S. Oka and M. Hirata: The 6th annual meeting of the Japanese society for complementary and alternative medicine, P65, Sendai, Japan (2003).

[2] H. Okada, A. Yamamori, N. Kawazoe, K. Ueno, S. Onodera, and M. Hirata: Polysaccharides from a fermented beverage induce nitric oxide and cytokines in murine macrophage cell line. J. Appl. Glycosci., 71, 47-54 (2024).

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